店長の仕事をやりはじめたころは、いろいろ失敗もありました。
まず、「自分ですべてやろうとしてしまう」病です。新人のアルバイトにまかせるくらいなら自分でやったほうが早いとばかりにいろいろ作業をしてしまう。たしかに早いことは早いのですが、そんなことをしていたら、いつまでたってもアルバイトくんが仕事をおぼられないですし、そもそも時間的な限界もあります。どこかで仕事を手放すことを覚えなければいけません。
で、それを乗り越えると、「いちいち細かく指示してしまう」病がやってきます。おそらく自分の思う通りにやって欲しいと望むからでしょう。細かいことまで言ってしまうわけです。それはそれで良い面もあるのですが、やりがちなのが「失敗の芽をすべて潰そうとしてしまう」ということ。個人的な経験からいって、これは学びが少ない教え方です。人は、失敗から学ぶのですが、むしろその体験を「失敗」として経験することで、はじめて失敗かどうかの判断が下せるようになります。「失敗」をことごとく回避させるように動いてしまうと、教えられた方は、他の状況での応用が効かなくなってしまうのです。
だから、最初の方は「ああ、それでは失敗するな」と思っていても、(かなり胃はキリキリするのですが)「じゃあ、とりあえずやってみて」と見守るように心がけました。もちろん、その失敗が致命的なものでないという条件は付くわけですが、そうして見守っていると、そしてやっぱり失敗してみると、「ここはこうだね」というアドバイスがきちんと効いてもらえるようになります。
で、これは「痛い目をみたから効果的に学習する」というのとはちょっと違っていて、先ほども書いたように、「何が失敗なのか」を自らで体験できることに価値があると思います。それを体験しないと、人間のパターン認識というのは向上しないので、いつまで経っても、「教えられたこと以外には対応できない」みたいなことになってしまいます。
まあ、仕事を任せたり、失敗を見守ったりするのはなかなかシンドイわけですが、でも、そのシンドイ仕事こそが店長の仕事だと思います。